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みなかみ町地域おこし協力隊移住コラム#2 「地域おこし協力隊として、みなかみ町に住む。」



みなさんに突然ですが質問です!

地方での暮らしにどんな印象を持っていますか?

近ごろ、地方で生活し活躍している人(2拠点、多拠点を含む)を取り上げているテレビや雑誌が増えているように感じています。またSNSでも地方での暮らしを積極的に発信している人も増えてきています。

でも人によってその暮らしぶりは全然違いますよね?みなさんのなかにもさまざまな印象を持っていて、結局のところは、実際に生活してみないと分からないことだらけだと思います。

みなかみ町地域おこし協力隊移住コラム第2弾として、群馬から一度東京に出て戻ってきたUターン移住者の立場として、都市部の生活と比較した地方(みなかみ町)で暮らす現実について書いていきたいと思います。


■車と携帯電話は必須ツール


地方、とくに群馬県の特徴として、なんといっても「車」文化があります。みなかみ町は土地も広大なため、特にその特徴に当てはまります。

携帯電話と同じように、1人1台が当たり前といってもいいほど、車は生活の一部になっている必需品です。基本的になんでもかんでも車で移動します。出勤も車のため、朝晩の通勤渋滞はすこしだけありますが、都市部で毎日感じていた通勤ラッシュのようなストレスは全くなくなったのは良い点です。

新型コロナウィルス感染症拡大の影響でオンラインでの打ち合わせも増えてきましたが、それでも県を越えて新潟県などに会議に行くことも日常です。どこへ行くにも車なので、お酒を飲む機会もかなり減って健康的になりました。流しのタクシーが走っているわけもなく、運転代行サービスもありますが、乗り合わせできないとかなりの出費となるため、旅館やホテルに泊まる覚悟がないと飲めません(笑)。



■地方では思っている以上に人手不足


第1弾の記事でも触れましたが、移住するハードルのひとつとして、地方に仕事がないことが挙げられます。

ですが実際のところ、都市部に比べて地域全体の人口は少なく、とくに働き盛りである若い世代は都市部に出ているため驚くほど少ないのが現実です。

だから町内どこでも、人手が足りない!という声をけっこう聞きます。 ただ、「声を聞く」という表現の通り、インターネット等に情報は出ておらず、人づてに聞いて初めて知ることが多いです。

人が少ない地方では、その地域に競合相手が少ないため、起業していろんなことへチャレンジしやすい環境があると思います。 みなかみ町では、観光としてアウトドア・アクティビティが盛んで、ツアーガイドなどの個人事業主として生計を立てている人の割合が多い印象です。みなかみ町の場合、アウトドアなど新しいヒトやモノを受け入れてきた雰囲気もあり、もしかしたら他の地域に比べて新しいチャレンジを受け入れてくれやすい環境があるのかもしれません。 その反面、都市部と比べて新しいことへの風当たりが強いため、精神的な強さは求められると思うので、そこは覚悟がいる部分だと思います。


■自然と生きる


大自然を身近に感じる。これが、おそらく、都市部からみなかみ町のような地方へ移住してきて一番感じることではないかと思っています。都心では大きなビル群に囲まれながら、アスファルトの上を歩き、いろんな匂いが混じりあった不純な空気を吸う生活でした

建物内でもエアコンで空調管理がされていて、外に出たとしてもバスや電車、その通路までもが空調管理されています。 一年を通して快適ではありますが、自然に逆らっているような、どこか違和感を覚えていたように思います。

それが、みなかみ町に来て180度変わりました…!目の前には谷川連峰が広がっていたり、清らかな利根川が流れていたり、時折現れたりする野生動物までもが、普段の生活に当たり前にあります。

都市部では感じられなかった「四季の変化」を体全体で感じられます。 とくにみなかみ町の場合は、群馬県のなかでも豪雪地帯のひとつでもあるので、なんといっても「雪」がすぐそこにあることです。 趣味がスノーボードの自分としては嬉しい反面、雪かきや厳しい寒さはまさに移住して困ったことではあります。 でもその寒さがあるからこそ、春の暖かい新緑の季節を迎えられたときの感覚は生きている実感を得られます。



■趣味嗜好が変わる


都市部、とくに東京で暮らしていると、日々の生活に刺激や潤いをもたらすモノに溢れています。映画館や劇場、オシャレなショップや飲食店、スーパーやドラッグストア、コンビニなど、思いついたらすぐに行ける距離にすべてが揃っています。

さて、みなかみ町はどうでしょうか?笑。まさに、みなさんが想像する通り、ほとんどすべてのことにおいて、車で1時間以上かけて移動しないと、東京と同じような娯楽には出会えません笑。

でも、人間って凄いです。その環境に慣れていき、趣味嗜好が変わっていきます。近くにある日帰り温泉に入ってリフレッシュしたり、平日夜はヨガを習ってみたり。これまで興味や関心がなかったことに対しても、ほかに何もないからやってみよう!の気持ちで、新しいことに挑戦できるのは発見でした。


■地方でもお金はかかる


都市部より地方のほうが生活にお金がかからないイメージがあるかもしれません。たしかに地元産の野菜などは安いですが、普段買い物する生活必需品は、コンビニやスーパーなどほとんど値段は変わらない印象です。

さらに車のガソリン代や水道光熱費などの公共料金は、むしろ都市部より割高です。でも、先ほど娯楽のことを書きましたが、都市部のようにいろんな誘惑がほとんどないので、その分の出費は抑えられます。移住したときに補助金が出る地域もあり、補助金もさまざまにあります。

みなかみ町では、そういった移住定住支援が手厚くなっていますので、ぜひ以前の記事を参照してみてください。 https://www.minakami.work/050638874328/lrng85mgrt3awndxazle9rlebe5bdf



■知り合いや友人がいない


環境(とくに住む場所)の変化で大きなことのひとつとして、まわりに知り合いや友人がいなくなることが挙げられると思います。意外と移住するときに気になるところではないかと思います。私自身も真っ先に考えたことでした。

ここですこし私がなぜみなかみ町に来たのか、触れたいと思います。 私は、高校卒業後に大学進学を機に上京しました。大学を卒業してからは、2年ほどのフリーター期間を経て、演劇やコンサートなどを上演する劇場の制作スタッフとして働いていました。仕事に対してやりがいを感じていましたが、ほぼ休みなく仕事をしていて、このままで良いのか?という自問自答の日々を過ごしていました。そんな折に、みなかみ町に住んでいた祖母が亡くなり、空き家をどうするか家族会議があり、これもなにかの縁だと感じ、みなかみ町に行こうと決めました。

もともと友人の数は決して多いほうではなかったのですが(笑)、ほとんど休みなく働いていたことや、地元群馬に帰る時間も短く、地元の友人とは疎遠になっていました。 さらに、自分の地元はあくまでも高崎市なので、当然みなかみ町には知り合いや友人がほとんどいませんでした。


しかし、「地域おこし協力隊」として戻って来られたおかげで、利根沼田地域で同じ時期に地域おこし協力隊として着任した人たちと知り合えたり、地域おこし協力隊OBやOGの人たちとの交流も持てたりしたので、寂しい思いをすることはありませんでした。

さらに、群馬県およびみなかみ町では、地域おこし協力隊に対して手厚い支援をしてくれています。

セミナー研修や意見交換会なども定期的に開催してくれていますし、群馬県地域おこし協力隊ポータルサイト【きみの未来とぐんまをつなぐ「ツナグンマ」(https://chiikiokoshi-gunma.jp/)】も立ち上がっていて、地域の垣根を越えた横のつながりもあり、心細い気持ちにならないように配慮されています。

ここで、みなかみ町の地域おこし協力隊についてもうすこしだけ深掘りしたいと思います。


現在、私を含めて現役の地域おこし協力隊は4名います。


旧月夜野幼稚園を活用したテレワーク拠点「テレワークセンターMINAKAMI」(https://tw-g.org/)の運用や活性化などみなかみ町の地域創生に向けたプロジェクト推進を担っている、橋本拓海さん。


私と同じく「みなかみ町観光協会」(http://www.enjoy-minakami.jp/)に所属し、窓口対応やアテンド業務及び観光誘客に繋げるための地域連携・活性化業務を行っている、田仲由希さん。


みなかみ町のプロバスケットチーム(3×3)「MINAKAMITOWN.EXE」(https://www.minakami3x3.com/)の広報や運営などを行いながら、スポーツを活かした地域づくりやスポーツ振興を行っている、笹口真希さん。


それぞれ所属や仕事内容などは異なりますが、同じ町内にいるとそれぞれの活躍が人づてに伝わってきて、なんだか自分のことのように嬉しく感じています。

そして、忘れてならないのですが、地域おこし協力隊OB・OGの方たちです。「地域おこし協力隊」としての任期が満了し、地域の人として活躍している人たちも多くいます。そのなかで私とも繋がりのあるおふたりご紹介します。


1人目は、観光施設(道の駅や日帰り温泉施設など)を運営する株式会社「たくみの里」(https://takuminosato.jp/)の社長、西坂文秀さん。愛媛県今治市の「JAおちいまばり」で直売所「さいさいきて屋」を立ち上げ、国内最大規模の直売所に育てたあげた手腕を見込まれて、講演などを通じて縁のあったみなかみ町に来ることになり、観光施設の収益向上や地域の観光や農業の活性化に携わっています。


2人目は、テレワークセンターMINAKAMIを拠点に、地域での起業や移住をサポートする一般社団法人FLAP(https://www.minakami.work/)の共同代表を務めている、鈴木雄一さん。広告やマーケティング事業を行いながら、SDGsカードゲーム体験会を開催したり、町役場と連携し移住コンシェルジュとして移住定住の相談などにものっていたり多岐にわたって活躍しています。


ほかにも地域おこし協力隊を卒業してから活躍している人たちがたくさんいます。仕事でも生活でも、自分と同じような立場の人が近くにいるだけで、目標にできたり参考にできたりできるところもあり、心の中に余裕が生まれるのではないかと思っています。



■仕事と生活との関係


みなかみ町に地域おこし協力隊として移住してみて、一番感じたことは、生活と仕事のバランスが変わったことです。

地域の課題に対して、最前線で仕事ができることが生活への刺激にもなっています。否が応でも、仕事のなかで感じている課題を住民としても感じてしまいます。生活と仕事の境界が曖昧なところもでてきますが、それが最前線で仕事をしている実感にもつながっています。

地域に馴染みながらも、「線引き」を意識して仕事をしている気がします。

地域おこし協力隊としての任期が来年2021年3月いっぱいで終わります。自分自身のなかで何かが大きく変わった印象はありません。でも、確実にみなかみ町への愛着は増しているし、後悔はありません。地域を見つめて、目の前の現実に寄り添うことだけで、地域おこし協力隊としては大きな意味を持つのかもしれません。

ここまでいろいろ書いてきましたが、冒頭にも書いた通り、あくまでも私個人の所感です。実際に住んでみて、「水が合う」かどうかは、本当に人それぞれだと思いますので、まずは、情報を検索するところから始めてみてはいかがでしょうか。



みなかみ町観光協会/地域おこし協力隊 宇津木信之介

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