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食と防災~防災士取得までの道のり~


みなさん、こんにちは!一般社団法人FLAP所属地域おこし協力隊の酒井夏実です。


令和4年度第2回ぐんま地域防災アドバイザー防災士養成講座を受講して、防災士の資格を取得しました!ということで、取得の経緯や取得までの道のりをお話したいと思います。




目次

4. まとめ




<1.防災士を取得しようと思った経緯>

近年の災害の中でも私の記憶にはっきりと残っているのは“令和元年東日本台風(台風19号)”です。

10月12日から13日にかけて北上した台風19号により、東日本において広域に記録的な大雨となり、河川の堤防決壊等による洪水や土砂崩れ等の災害が各地で発生しました。


当時、私は茨城県水戸市に住んでおり、河川が氾濫して鉄橋が崩落、集落全体が浸水した現場を目の当たりにしました。豪雨の影響で、屋根上まで完全に浸水し、水が1週間以上ひかなかったのを覚えています。その地域はハザードマップでも10m以上の洪水浸水災害の影響が及ぶと想定される区域でしたが、死者が伴う災害となってしまいました。


地震が少ないと言われている群馬県ですが、地震に限らず災害の危機はいつ訪れるかわかりません。

近年の気候変動により、水害や土砂災害のリスクが高まっています。

「今まで大きな災害がなかったから大丈夫!」ではなく、いざ災害が起きた時に自身が助けられるのを待つだけではなく、知識を身に付けることで地域の一員として、家族や身近な人たちを助けられるようになりたいと思いました。


災害時には睡眠障害、血圧上昇、生活習慣病の発症・悪化、頭痛や腹痛を代表とする心身症などの被害も想定されます。災害がもたらす健康問題は、災害直後の急性期のみならず、中長期においてもみられる大きな問題であり、被災者に対する継続的なアプローチが必要です。私自身がすでに持っている管理栄養士の資格を生かしながら、防災士の資格を取得することで、管理栄養士の視点から地域における防災啓発を行い、地域の防災意識を高めたいと考えました。



<2.防災士ってどんな資格なの?>

 防災士とは、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構が認証した人です。


活動内容は、“自助”“共助”“協働”の基本理念のもと、


  1. 自助:自分の命は自分で守る。 自分の安全は自分で守るのが防災の基本です。災害時に命を失ったり、大けがをしてしまったら家族や隣人を助けたり、防災士としての活動をすることもできません。まず、自分の身を守るために日頃から身の回りの備えを行い、防災・減災に関する知識と技能を習得し、絶えずスキルアップに努めます。

  2. 共助:地域・職場で助け合い、被害拡大を防ぐ。 災害の規模が大きければ大きいほど、消防、警察などの公的な救援活動が十分に機能するまでには一定の時間がかかります。そこで発災直後における初期消火、避難誘導、避難所開設などを住民自身の手で行うために、地域や職場の人たちと協力して、災害への備えや防災訓練を進めます。防災士は、そのための声かけ役となり、リーダーシップを発揮します。

  3. 協働:市民、企業、自治体、防災機関等が協力して活動する。 日頃から、行政をはじめ防災・減災に関わる多様な機関、団体、NPOなどと密接に連携し、防災訓練等の活動を通じて、お互いに顔の見える関係をつくり上げ、「災害に強いまちづくり」をすすめます。また、大規模災害が発生した際には、それぞれが可能な範囲で被災地救援・支援活動に取り組みます。


上記の取り組みを行うことが、防災士の役割です。


自分が被災しないように率先避難を行い、自らの生命と心身に回復不能なダメージを受けないようにすること。次に、家族、ご近所の人の救援や避難行動への援助と続きます。最後に協働は「助け合いの精神」のもと可能な範囲で同志を募り、ボランティア活動を行うことを期待されています。



下記からは防災士の資格を取得するための流れを紹介します。


<3.防災士になるには?費用はどのくらいかかる?>

 防災士を取得するには3つのステップを修了することで、日本防災士機構への「防災士認証登録申請」を行うことができます。



①防災士養成研修講座 まずは防災士養成研修講座を受講し、研修履修証明を取得します。研修は、日本防災士機構が認証した研修機関が行います。研修を受講するだけでなく防災士教本よる自宅学習でレポートを提出して、受講資格を得られます。 防災や災害対応の専門家を講師として集合研修(会場研修)の形式で行われます。集合研修では防災士教本に示す21講目のうち最低12講目以上を履修します。最低でも2日間以上の日程で実施されます。 実施カリキュラム・スケジュールは下記を参照してください。



小学生から高齢者まで幅広い年齢層の方が、防災士の資格取得を目指し研修に参加していました。

研修では過去の災害時に実際に活動されていた専門家や防災士の方が講義を行い、教本には載っていない被災現場での活動や各地での防災の取り組み、地域住民が自ら動いて行った市を跨いだ防災連携、災害への備え、コロナ流行後の避難所の設営など学ぶことができました。



②防災士資格取得試験

研修履修証明を取得すると、資格取得試験の受験資格が与えられます。

研修終了後に防災士資格試験に合格しなければなりません。出題範囲は広いですが、事前レポートと研修をしっかりと受ければ難しくはありませんでした。

講習を受講する際に使用した防災士教本から試験問題は出題されます。

特にひっかけ問題などもありませんでした。30問中24問(8割)取れれば合格です。

試験時間は1時間ありますが、答案提出を行うとすぐに退出することも可能です。



③救急救命講習(防災士研修前の受講も可能)

救急救命講習は、消防署や日本赤十字社などの公的機関、それに準ずる団体が主催しています。

心肺蘇生法・AEDの使い方などを含む3時間以上の講習を受け、修了証を取得します。


けがや病気の中でも最も重篤で緊急を要するものは、心臓や呼吸が止まってしまった場合です。

急性心筋梗塞や脳卒中などは、何の前触れもなく心臓と呼吸が止まってしまう原因となります。

川で溺れたり、のどに餅を詰まらせたり、お風呂上りなど寒暖差の激しい場面でのヒートショックなどいつ遭遇するかわかりません。救急車が到着するまでの一次救命処置(心肺蘇生とAED)が行えるかどうかで生存率も一気に変わります。

AEDの存在を知ってはいるけど実際に触ったことがないという方もたくさん居ると思います。

講習会に参加すると、実際に要救護者を発見→通報・AEDの手配→胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行い、AEDを使用するという流れを救命措置の実習を行うことができます。

胸骨圧迫は体力も必要になるので、知識を持った人が複数人で行う方が望ましいです。



↑講習会時に使用したAED:蓋を開けると使用の仕方の音声ガイダンスが流れ始めます。



突然の事態に備え、過去に何度か受講したことがありますが、コロナ流行後に受講するのは初めてでした。感染リスクを考慮して、傷病者のマスクは外さず、人工呼吸は行わず胸骨圧迫のみで対応する。社会情勢の変化に伴い、対応方法もアップデートされていました。適切な対応できるように定期的に受講しておくべきだと思います。


救急救命講習の修了証は認証登録申請の5年以内に発行されたものが必要です。防災士登録の際、期間内に修了書のコピーが必要になるため、早めの受講をおすすめします。

救急救命講習については利根沼田地域では開催依頼があったときだけに実施されます。群馬県都市部では月に1回など定期的に行っているようです。


みなさんは大切な人たちが目の前で倒れた時に対処できる知識を持っていますか?

応急手当講習会については防災士を目指さない人でも受けておいた方がベストです。

 

・費用について

〇防災士教本代 3,500円

〇防災士資格取得試験受験料 3,000円

〇防災士資格認証登録料 5,000円

合計11,500円が資格取得に必要になります。


<4.まとめ>

 防災士の資格取得することで、災害時に対応できる知識はもちろん、救命に対する技術も身に付けることができました。みなかみ町はとても広く、災害時に救助がすぐに来てくれるとは限りません。また高齢化も進んでいて、助けを必要としている地域の人がたくさんいます。災害が起これば、誰もが被災者となります。周りが助けてくれることを待つだけではなく、必要な知識を身に付け、自分自身を守り、地域の人達と助け合うことで、被害を少なくすることが大切です。防災士取得で得た知識と、災害時に起こりうる栄養問題や非常時での調理などを啓発していくことで、地域の防災意識を高めていきたいと思います。

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