「あったらいいな!」を形に。カーシェアで始める、地域の交通課題へのチャレンジ 「みなかみカーシェア」株式会社トマの耳・角田さん<みなかみ町移住チャレンジャーの取り組み紹介>
- Yuichi Suzuki
- 6月18日
- 読了時間: 5分
更新日:6月20日

東京から新幹線で約60分。新潟県との県境に位置し、表情豊かな自然が広がるみなかみ町。人口1万7千人を切るこの町は、自然の豊かさと東京圏とのアクセスの良さというバランスの取れた魅力を備えており、テレワーカーをはじめとした「アクティブでチャレンジしたい」人たちの移住候補地として、近年注目を浴びています。
自然と共に暮らす楽しさだけでなく、自然を生かした観光地でもあるみなかみ町には、地域の課題と可能性が共存しています。外からの視点と内からの視点、その両方を活かして事業などにもチャレンジしやすい環境です。
今回は、そんなみなかみ町に移住し、地域課題の気づきから、カーシェアリングの事業を立ち上げられた角田さんの取り組みをご紹介します!
テレワークで仕事を変えずにみなかむの暮らしをスタート
角田さんは2023年の冬、ご家族とともにみなかみ町へ移住されました。本業はテレワーク中心のIT企業にお勤めで、地域課題の解決にも取り組む会社に所属されています。
月に数回、東京のオフィスへ出社する必要があるため、東京とのアクセスの良さも重視したとのこと。自然豊かな土地で子育てしながら、仕事にも通いやすい。そんな暮らしを求めて、みなかみ町での生活をスタートされました。

暮らす中で気づいた地域の課題から始まったチャレンジ
角田さんがカーシェア事業を思いついたきっかけは、地域の交通の不便さでした。
地方では、そもそも公共交通機関が乏しい、また利用者が少なくて路線が維持できないことなどが理由で、車がないと生活できない地域がたくさんあります。
「上毛高原」という新幹線の駅があるみなかみ町でも例外ではなく、広大な面積の地域をくまなくカバーできる公共交通機関はありません。
日常の足として車を使うことは地域の方は当たり前となっていますが、角田さんはこれまでの暮らしでは車を使う機会が少なく、移住して地域で暮らしはじめて、車が必須の生活に驚いたことが、地域の交通事情に関心を持つきっかけでした。
地域の交通事情を調べていく中で、子どもの習い事の送迎、免許を返納した高齢者や免許を持たない人の移動・買い物の問題など、地域のあちこちに交通に関する課題があることを実感。
さらに、観光で訪れる人にとっても、電車で来た場合の移動手段が限られており、「みなかみ町の魅力を十分に楽しんでもらえないのでは?」という思いを抱くようになりました。
「住んでみて気づいた、町の魅力と課題。もっと多くの人にこのみなかみ町を楽しんでほしい。地域の人にも移動手段の選択肢を増やしたい」。そんな想いから、カーシェアの事業をスタートされました

これまでの経験と地域のつながりを活かして事業開発!
事業化にあたっては、現行法の確認、車両の手配、予約システムの導入など、ひとつずつ丁寧に準備を進めました。車両は「地域で経済を回したい」という思いから地域の自動車工場に相談し、予約システムは移住前の人脈を活用して導入。特に車両の手配では、引っ越してきたばかりで、会社も立ち上げたばかり、実は車の購入も初めての手探り状態の中で相談すると、「新しい取り組みなんてすごいね!うちも負けてられないな!」と笑顔での対応いただきました。不安でいっぱいだった気持ちから一点、自分の挑戦に自信を持って事業を進める原動力になりました。
設置場所は当初は町の玄関口「上毛高原駅」前を検討していましたが、既にレンタカー・カーシェアが充実していたため、観光の中心地・水上温泉街への設置に方向転換。みなかみホテルジュラクに相談しました。
みなかみホテルジュラクは水上温泉街の中心にあり、大型駐車場を完備しています。角田さんも以前宿泊されたことがあり、その際、子どもの友人の保護者がスタッフとして働いていることを知ったそうです。事前にヒアリングも行ってもらい、“いなかならでは”のつながりが後押ししてくれました。

そのご縁が実を結び、ホテルの総支配人と直接お話しする機会を得て、事業内容を説明したところ、「それ、面白いですね」と笑顔で快諾。格式あるホテルのトップでありながら、柔軟に話を受け止め、耳を傾けてくれる姿勢に角田さんは感動されたそうです。
「この場で前向きな返事をいただけるなんて…!」と驚きと喜びを感じつつ、「期待に応えたい」という想いがさらに強まったと語られました。
こうして地域が新しいチャレンジを応援してくれる。まさにその実感を感じながら「みなかみカーシェア」はスタート。地域住民にも観光客にも使いやすい、地域の新たな交通の選択肢となる素敵な素敵なサービスはじわじわ利用が広がっています。
地方の交通課題は高齢化や人口減少で、これからもっと深刻化してきます。角田さんは将来的には「自動運転カー」を地域に走らせたい。という、思いがあります。その実現の第一歩が、このカーシェア事業です。
勇気を持って踏み出す挑戦を地域は応援してくれる!
「地域に移住したからこそ見えた課題と可能性を、事業として社会に実装する」。地方では新しい挑戦は難しいと思われがちですが、みなかみ町は多様な人を受け入れ、挑戦を応援してくれる風土があります。
大きなプレイヤーが少ない分、小さな挑戦が実を結びやすい。想いを形にしようとする人を、“自分ごと”として応援してくれる人がいる地域です。
「自分の暮らす町をもっとよくしたい」「自分のやりたいことに挑戦したい」。そんな想いを持って地域チャレンジをしたい方は、みなかみ町で一緒にチャレンジしてみませんか?
あなたの想いが、この地で花開くかもしれません!

【カーシェア詳細情報】
「みなかみカーシェア」は、水上温泉街・みなかみホテルジュラク駐車場の2階に設置されています。JR上越線「水上駅」から徒歩9分。宿泊していなくても利用可能です。
最近は地域の方の利用も増えているそうです。交通機関が少ない地方では、車があれば気になる場所も見に行けます。また移動する速度が違えば、見える景色も変わってきます。観光や移住検討の視察の際、ぜひ活用してみてください。
📍 Googleマップでカーシェアスポットを確認
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