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「何から始めればいいか」を、相談できる場所有楽町にある「ぐんま暮らし支援センター」

  • 1 日前
  • 読了時間: 12分

「地方移住や二拠点生活をしてみたいけれど、何から始めればいいか、わからない」 「まだ具体的な地域も時期も決まっていないのに、相談に行ってもいいのだろうか……」

昨今、働き方の多様化とともに、地方での暮らしを選択肢に入れる人が増えている。一方で、仕事や住まい、現地の人間関係など、気になることや不安は尽きない。興味はあっても、何から始めればよいのかわからないという人も多いのではないだろうか。

そんな移住を考え始めた人が安心してファーストステップを踏み出せる場所が、東京・有楽町にある「ぐんま暮らし支援センター」だ。


ここは、すでに移住を完全に決意した人だけが利用する場所ではない。「少し群馬が気になっている」「まず話を聞いてみたい」という、ふんわりとした段階から大歓迎で迎えてくれる、東京にある群馬県への入口である。

今回は、2024年に東京の下町から群馬県みなかみ町へ地域おこし協力隊として単身移住した筆者が、センターの役割や相談の実際、そして大変なこともあるけれど居心地がいい、群馬暮らしの現実について紹介する。


“群馬で暮らす”を考え始めた人へ

ぐんま暮らし支援センターは、東京・有楽町駅前の東京交通会館8階にある「公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構 ふるさと回帰支援センター・東京」内に設置されている、群馬県への移住や地域との関わり方について相談できる専門窓口だ。


フロアには各都道府県の専属相談員が常駐しており、日本全国の移住資料が集結している。各地域の情報を客観的に比較しながら、横断的に話を聞けるのが大きなメリットである。


その一角にある群馬県のブースでは、群馬の風土や各市町村の事情に精通した専属の相談員が、日々多くの相談者を温かく迎えている。まだ具体的な計画が何もない検討初期段階の人たちが、毎日のように窓口を訪れている。


「まだ何も決まっていない」という方にこそ、相談してほしい理由

実際に窓口には、どのような人たちが相談に訪れているのだろうか。現役の相談員に、相談現場のリアルを伺った。


相談員の視点:窓口を訪れる人の、それぞれの「心のステップ」

相談に来られる方の住まいは「一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)」が圧倒的多数を占め、群馬に良い印象を持っている方々だ。その段階や動機は、大きく以下の3つのグループに分かれる。


・「漠然と地方暮らしに興味がある」というふんわり検討層

 テレビやネットで移住事例を見て関心を持った方。都会での人疲れや満員電車の通勤にしんどさを感じ、新しい生き方を模索し始めた地方未経験者。


・「ライフワークバランスを変えたい」という具体的検討層

 群馬出身のUターン希望者や、現地に知人がいて生活を想像できる方。「今の仕事をリモートで続けつつ、家族との時間を大切にしたい」など明確なビジョンを持つ。

 

・「住まいと子育て環境」を重視する現役ファミリー層

 住宅事情などを背景に「広々とした環境で子育てをしたい」と願う20代〜40代。群馬に縁もゆかりもない方も多数含まれる。



相談内容は仕事や住まいだけではない

窓口で交わされる相談テーマは、単なる条件探しにとどまらない。ライフステージに合わせて、多面的な案内が行われている。


・土地の基本スペック:エリアによる気候や積雪の有無、標高、災害リスク、アクセスを丁寧に整理し、理想に合う市町村を絞り込む。

・ファミリー向け:スーパーや総合病院の有無、保育園の空き状況など、実際の生活利便性やトレンドを細かく提供する。

・リモートワーカー・二拠点希望:家庭菜園への挑戦や、地域貢献につながる副業(プロボノなど)といったコミュニティとの関わり方を模索する。

・シニア層(セカンドライフ): 安心して暮らすための医療環境や福祉サービスの案内、シニア世代向けのコミュニティなどを紹介する。

・起業・就農希望者: 地域での起業や新規就農に向けた各種補助金・支援制度の案内、現地でキーマンとなる先輩移住者や事業者を紹介する。


 

「決めつけない、強制しない」という、寄り添いの伴走スタンス

相談員が最も大切にしているのは、「相談者の未来を勝手に決めつけないこと、強制しないこと」だ。

 

窓口の役割は、無理に引っ越しを勧めることではない。

相談者が主役となり、これからの人生を納得して進められるよう、徹底して傾聴に徹する。

職業紹介、不動産紹介など法律上できないことは「できない」と正直に伝える誠実さがあるからこそ、検討初期の人でも安心して心を開くことができるのである。

 

 

「じっくり聞く」から始まる、ミスマッチのない移住相談

せっかく移住をしても、「イメージと違った」と戻ってしまうのは悲しいことだ。

センターでは、こうしたミスマッチを減らすための実践的な仕掛けを行っている。まず、相談者が移住によって「今の暮らしの何を解決したいのか」という目的をトコトン深掘りする。その上で、現地を見学するための具体的なステップを一緒に組み立て、現地の「移住サポーター」や市町村の担当者へ直接、事前連絡を入れて繋いでくれる。

「ネットの綺麗な情報だけでなく、現地の『人情報(一次情報)』を得ることが大切」というアドバイスは非常に実践的だ。「近所付き合いのリアルな距離感」や「実際の雪かきの頻度」など、生活の匂いがする生きた情報は、現地の人に聞くのが一番確実だからである。

 

ストリートビューでも見せる、センターの本気度

群馬県はエリアによって平野部、山岳部、高原地帯と地勢が大きく異なり、気候や地域性も多種多様だ。

窓口では県内を5つのエリア(中毛、西毛、東毛、利根沼田、吾妻)に分けて特徴を案内するが、まだイメージが湧かない相談者に対しては、窓口のモニターでGoogleストリートビューを活用するという。

実際の道路や街並み、住宅同士の距離感を見せながら相談者自身も気づいていない理想のイメージを少しずつ整理していく。

 

気軽なオンライン相談、だからこそ大切にしたい「顔の見える関係」

現在、Zoomなどを用いたオンライン相談も盛んである。自宅から手軽にアクセスできるため非常に好評で、画面共有によるデジタル資料の案内や、東京の窓口と現地を繋いだ「3者同時相談」が簡単にできるメリットがある。


特にこのオンライン相談は、都内に足を運べない遠方や海外在住の人、あるいは小さなお子さんがいる家庭にとって、非常に心強い味方だ。回数に制限はないため、大まかなイメージを掴むために、まずは何度でも気軽に活用してみてほしい。


一方で、カメラオフの場合などは相手の表情が見えず、ニュアンスの把握が難しくなるという特性も正直に教えてくれた。手軽すぎるがゆえに単なる情報収集(有人検索機のような扱い)で終わってしまうケースもあるという。


だからこそ、画面の向こうにある「顔の見える関係」を大切にしながら一歩を踏み出してほしい。大まかなイメージを掴んだ、その次のステップとして、センターを通じて「現地のキーマンや地域の人」へと繋いでもらう。そうして手に入れた情報をベースに、実際の現地との接点を持つことで、移住の現実味が一気に増していくはずだ。

  

みなかみ町で暮らす、私自身の日常

ここで、実際にこの窓口を利用し、東京の下町から群馬県みなかみ町へ地域おこし協力隊として移住した私自身の体験談をお話しする。


私自身、常設の相談窓口があることを知って実際に相談に乗ってもらった後、しばらくして相談員の方が「その後、近況はいかがですか?」とわざわざ電話をくれたことがあった。一人でキャリアを考えていた時期だったため、とても心強く感じたのを覚えている。


そうして背中を押してもらい、2024年4月からみなかみ町での暮らしをスタートさせた。これまでの生活環境とは異なる毎日に戸惑いながらも、居心地の良い日常を見つけることができた。

 

都会の当たり前が変わる「適度な不便さ」

東京にいた頃は、夜中であってもすぐ近くのコンビニに行ける環境が日常であった。

しかし、みなかみ町では車を走らせる。私が運営に関わっている「後閑駅ナカ学習室」を閉める20時30分頃には、東京の郊外で終電が行った後のような静けさを感じる。

「今、家になければ、明日までない」。移住当初は戸惑ったが、今ではこの適度な不便さがとても気に入っている。夜は静かに過ごす生活リズムにも、少しずつ慣れてきた。

 

「旅行」から「日常」へ変わった温泉

みなかみ町といえば、素晴らしい名湯が点在する温泉地だ。以前の私にとって温泉は、家族で行く旅行であり、完全な非日常だった。

ところが今では、町民割の回数券を購入し、毎週のようにふらっと地元の温泉へ通っている。

1日の疲れを癒やす温泉がある暮らしは、非日常が日常へと変化した。

 

車がないと困る町だからこそ、見えてきた人の温かさ

地方暮らしの必須アイテムである車。確かに車がないと生活が成り立たない場面は多く、買い物や病院へ行くのも一苦労だ。

しかし、車社会のポジティブな側面も見えてくる。通学に上越線を利用する高校生たちが毎日のように駅まで車で送迎してもらっている。送迎は大人側の負担であるが、あの車内の空間こそが、親子が一緒にいられる「大切な家族の時間」として機能しているように感じるのだ。


また、近所の人から採れたての野菜をいただいたり、地元の小中高生が自然に挨拶をしてくれたりする温かさにも救われた。


さらに、私が重度のぎっくり腰になってしまった時には、友人がすぐさま車で病院へ連れて行ってくれ、翌朝も家まで迎えに来て出勤をサポートしてくれた。

お互いに困った時には手を差し伸べ合う文化が、この地域には確かに息づいている。

 

東京にも新潟にも、サクッと行けるちょうどいい距離感

みなかみ町の最大の強みは、アクセスの良さにある。

上越新幹線の「上毛高原駅」から東京駅まではわずか1時間ほど。関越自動車道のインターチェンジも町内に2か所ある。

東京へのアクセスが良いのはもちろん、車を少し北へ走らせれば新潟方面(日本海側)へもあっという間だ。車だけでなく新幹線も使えるこの町は、東京と新潟のちょうど中間地点に位置しており、少し足を延ばして日本海側の空気にも触れられる。

この「どちら側にもサクッと行ける絶妙な立ち位置」は、住んでみて気づいた大きな利点だ。

 

 

寂しさ、悩みも感じつつ、音や景色で感じる四季

センターの相談員が誠実に現実を伝えるように、私も日々の暮らしの一面をあえて隠さずに伝える。

 

地方へ移住したからといって、毎日が100%充実して前向きに変わるわけではない。

私自身、現在は東京に家族を残して単身で暮らしている。当然、家族と離れた分、寂しさだけではなく、心配事が増えたのも事実だ。環境が変わっても、日々の悩みや葛藤がゼロになるわけではない。

 

それでも、この地で生きている実感

みなかみ町の自然が見せてくれる四季の移り変わりは、東京にいた頃には想像もつかないほど豊かで、面白い。


私が住む地区では、ひと冬に数回、雪かきをする。天気予報のチェックも東京にいた頃とは変わり、雪の予報に敏感になった。

遠くの山々に残雪を望むような時期になると、一気に新緑の季節へと移り変わる。


春から秋にかけては草刈りも生活の一部になり、特にこの時期の草の成長の早さには驚かされる。田んぼに水が入る風景が広がり、軒先ではツバメの巣作りが始まる。


初夏には家の近くの沢でホタルが飛ぶ。


秋には稲刈りが始まり、直売所にはりんごが並ぶ。


山の色も、さまざまな色が混ざり合いながら少しずつ変化していく。そして冬が近づくと、遠くに初冠雪した山が顔をのぞかせる。

そうした風景だけでなく、草刈り機やトラクターの音、川の音や鳥のさえずり、カエルの大合唱など、季節を音で感じる場面も多い。


また、夜中に聞こえる上越線の貨物列車の音が気になることがある。

特に貨物列車は編成が長く、通過する時間も長い。「ああ、今日も物流が日本の大動脈を流れているんだな」と布団の中で思うようにした。


もともと群馬にはよく足を運んでいたが、実際に住んでみないと分からない適度な不便さや、「観光」だけでは見えにくい本当の「暮らし」について考えるきっかけをもらい、その「観光」と「暮らし」のギャップに目を向けさせてくれたのが、私にとってのぐんま暮らし支援センターであった。


だからこそ、これから移住を考える人には、ただ現地を訪れるだけでなく、センターを上手に頼りながら、季節を変えて何度も地域の暮らしを確かめてみることを心からおすすめする。


 

「ちょうどいい」と「ちょっといい」へ

ぐんま暮らし支援センターの相談員のみなさんは、最後にこんなメッセージを寄せてくれた。


「あなたの理想の暮らしを叶える場所として、少しでも群馬県が候補に入っているならば、ぜひ『移住の目線』で現地を訪れてみてください!

壮大な山々、豊かな自然、100カ所以上の温泉地が、東京からすべて日帰り圏内にあります。 群馬なら、あなたの毎日の生活を『ちょうどいい暮らし、ちょっといい暮らし』へと変えることができるかも

しれません。

現地で温かく受け入れてくれるキーマンへのアクセスは、私たちが全力でご案内します。まずは有楽町駅前の窓口へ、どうぞお気軽にお出かけください!」

 

ふんわりした気持ちを、少しだけ前へ

移住を考えるにあたって、完璧な計画や確固たる決意は必要ない。まずは、自分の「こんな風に生きてみたいなぁ」というふんわりした気持ちを、そのまま言葉にしてみること。そこからすべてが始まる。


相談員のみなさんは、どんなふんわりとした話でも温かく受け止めてくれる。難しく考えず、まずは有楽町へおしゃべりをしに行くくらいの気持ちで、訪れてみてはいかがだろうか。

 

 



ぐんま暮らし支援センター

東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館8Fふるさと回帰支援センター・東京内

営業時間:10:00~18:00

定休日:月・祝および夏季・冬季休業

電話:(窓口直通)080-8870-2756 (代表)03-6273-4401


地方移住を応援するWEBマガジン|FURUSATO (フルサト)


【在籍組織】公益社団法人 ふるさと回帰・移住交流推進機構

※2026年5月31日現在の情報





筆者プロフィール

内山壮一東京都江東区出身。2024年4月、地域おこし協力隊として単身、群馬県みなかみ町へ移住。

家族は現在も東京で暮らしている。

高校生たちが自ら学ぶための自習室「後閑駅ナカ学習室」の運営・管理に携わる。日々、利用する学生たちの身近な存在として場を見守るほか、期間限定で中学3年生の利用も受け入れるなど柔軟な運営を行う。また、将来の視野や選択肢を広げるという施設のミッションのもと、様々なイベントの企画・開催にも注力している。ボランティアとして地域の高齢者向けの配食活動を行うなど、みなかみ町の生活に深く根ざした地域活動を地道に展開。

自身が東京と群馬を行き来する生活を送っている経験から、今後は「地方の暮らしのリアル」を都市圏へ伝えるなど、地域と東京を繋ぐ役割に関心を持っている。



 
 
 

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