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群馬県みなかみ町ローカルベンチャー創出・育成・ステップアップ事業群馬県みなかみ町おためしマッチングプログラム〜農業編〜オンライン開催参加レポート






利根川源流の町みなかみ町はユネスコエコパーク・SDGs未来都市に選ばれた、自然と人が共生する地域です。そして地域で頑張りたい人のチャレンジを応援できる町でもあります。

2022年3月19日「群馬県みなかみ町おためしマッチングプログラム~農業編~」を開催しました。このプログラムは、このみなかみ町で農業を切り口に、地域でのチャレンジの可能性を模索するプログラムとして企画しました。



本来は参加者にはみなかみ町を訪れてもらい、地域が抱える農業の課題&就農の可能性を肌で学び、地域のことを深く知っていただく予定でしたが、直近の社会情勢を鑑みて、オンラインにて実施することとなりました。

「農家さんに現場の声を聞こう!みなかみ農業ディスカッション」として、みなかみ町で農業に携わられている高橋宏之さん(まるひろ農園)、高橋直也さん(高橋リンゴ園)、本多稔晃さん(たにがわ園)の3名の農家さんに農業の現場の想いをざっくばらんに語っていただき、農業の魅力と地域のことについて、オンラインでも垣間見る機会となったのではないでしょうか。

みなかみ町での農業の現場、地域への思い、土地に根ざした生き方など、生の声を聞いた感想を、参加者の宮﨑紗矢香さんにレポートいただきましたのでご紹介します。





みなかみ町の「丹精込めて、耕す暮らし」。



”人生100年時代に備える”


テレビや本屋で、頻繁に見かけるようになったことば。


今、24歳の私はあと76年も生きる...


とは、考えられないのが正直なところです。


周りを見渡せば、世界は混沌としています。


未だ感染の波がおさまらないコロナウイルスはもちろん、年々深刻化する気候変動、そしてロシアによるウクライナ侵攻など。

今後30年以内に発生する確率が高い地震も懸念材料の一つです。


複合的なリスクが山積する時代で、人生設計やキャリアを描きにくい...

そんなふうに思っている人は、若者をはじめ増えてきているような気がします。


幼少期から横浜で育ってきた私は、いわゆる都会っ子で、食べたいものや欲しいものは、お金で手に入れる生活を続けてきました。


地方での暮らしを経験したことがないので、「自給自足」や「田舎暮らし」という世界を頭では知っているけど、あえてその道を選ぶ機会も意思も持ち合わせていませんでした。


転機は大学4年の就活シーズンです。


なかなか内定がもらえず自信喪失していた頃、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんを知り、大人に真正面から物申す姿にエンパワーされました。同時に、”気候変動”というものが、自分たち若い世代の将来を左右する問題であることに危機感を覚えました。


さらに、翌年の春。


大学を卒業し、就職をするタイミングで、新型コロナウイルスに見舞われました。

入社3日目でテレワークを余儀なくされ、一日中PC端末と向き合う生活が始まりました。

目と頭ばかり使って、手足や身体を動かさず、太陽を浴びない日々。

本能的に、これはまずい、と感じ始めました。


都会にいる限り、どうしても感染のリスクは高まる。

物価は高く、より高い給料のために長時間労働をしなくてはならない。

食料自給率の低さから、非常時に供給がストップしたとき、果たして生きていけるのか?


いろんな懸念が頭をよぎり、入社から一年半が経った頃、思い切って会社を辞めました。


無縁だった「自給自足」や「田舎暮らし」のチャンスが、まわりまわって足元にやってきたような、そんな感慨です。


とはいえ、一足飛びに「地方移住」に踏み切ることも、容易ではありませんでした。


都会から遠すぎず近すぎず...そんな距離感で通える場所はどこだろう。

いくつかリストアップする中で出てきたのが、群馬県です。


群馬県みなかみ町は、首都圏に近く、東京駅まで新幹線で65分ほどの距離にあります。

自然に恵まれ、アクティビティや観光資源も豊富なため、町に暮らす人々はよそ者に寛容なお人柄だといいます。


今回は、そんなみなかみ町で農業を営む方にお話をお聞きする機会をいただきました。




後継者不足や耕作放棄地の増加など、農業における課題は、みなかみ町も例外ではないですが、何より農家の矜持に圧倒される時間でした。


「自分で丹精込めて作ったものをなぜ自分の価格で売れないのか」

冒頭から、業界の風土に憤りを見せていたのは、りんご農家の高橋宏之さんです。


「親父もじいさんも農家だった」という高橋さんは、もともとは養蚕、こんにゃくの複合経営だったといいますが、価格の低迷で生計を立てるのが難しくなり、りんごに目をつけたそうです。

ほかにも、プルーン、さくらんぼ、桃、梨などの西洋フルーツのほか、あんずも扱っているそう。

直売所や道の駅に出荷する以外に、タイはバンコクでの販売も行っているとか。


「私たちは売っているわけだから、『安全です』って言う、その担保は何なのか。俺らはりんごを作ってない国を相手にしてる。世界の基準がある。安全、安心なんてたやすく言えない。そこまでしないと世界を相手にはできない」


農作物を作るだけで一苦労。それ以上に、売ってお金にするのも大変。

厳しい現実がひしひしと伝わってきました。


同じくりんご農家の高橋直也さんは、お客さんの年齢層について頭を悩ませているようでした。


団塊の世代がいなくなったときの販売先をどこに確保するのか。

輸出を含め、別の販売ルートを考えないといけない。

農業の担い手も買い手も、少子高齢化による影響は避けられないことを実感させられました。


もう一方、本多稔晃さんは34歳という若さながら、リスク分散型の思考で「何かがだめでもどれかがうまくいく」循環農業を実践されていました。


利根川の上下間交流として、無農薬でお米を育て、千葉県香取市で日本酒も作っているそうです。


印象的だったのは、次の言葉。


「6年やってきたけど、きゅうりを名指しで買ってくれる人が増えた。どこの誰のきゅうりって大して変わらないのにすごいこと。やってるうちに人となりが見られて、わざわざ私のところで買いたいと言ってくれる」


思った以上に田舎の人は見ている。

3年頑張ってると声をかけてくる。長い付き合いだからこそ、裏切らない。


社会的排除が加速する中、孤立・孤独が一層深まっていますが、個別の地域をみれば、強固なつながりやコミュニティは存続していると感じさせられます。


この点については、高橋宏之さんのコメントも示唆的でした。


「小売店がなくなってきている。子どもたちがアイス買いたいって言ってもコンビニしかない。商店はコンビニ。『よう元気か?』って声かけるようなものはなくなって、『いらっしゃいませ』って、どこ行っても同じような挨拶ばっかり。これじゃあ、地域そのものがなくなっちゃう」


地域というものが、いかに”人”でできているか、実感させられます。


お話の中では、私自身の問題意識の一つである、気候変動の影響についても伺いました。


「天候不順が多くなってきた」

「気候がおかしい」

「梅雨が梅雨じゃない」


皆さん、口を揃えて気候の”異常”を懸念していました。


高橋宏之さんはSDGsが謳われる前から、30年に渡り、B級品を捨てずに群馬サファリパークに買い取ってもらっているそうです。


「自分が手をかけたものを、腐らされて捨てることはできない」


1時間半に渡り、非常に濃密なお話を聴かせていただきましたが、着飾らずにフラットに、時に力強くお話しくださった皆さんの姿が、「農家」という二文字をより立体的にさせるようでした。


また耳を塞ぎたくなるような厳しいお話も。


「農業の牧歌的な暮らしに憧れていたけど、思っていたのとは違った。無限労働」


脱サラして、農家になった本多さんの言葉が重く響きました。


それでも、


「好きだからやれるのが農業の魅力。華やかだからさくらんぼとかじゃなくて、ニッチなものでも自分が好きだったらそれをやったほうがいい。稼ぐというのでは失敗する」

という言葉に、どこか励まされた気がします。


半年前、会社を退職してから、自由大学の「地球に暮らす自給学」という講義を受講していましたが、そこでも同じようなことが言われていました。


「お金をかけずに自分で暮らしを自給するということは、つまりその代わりに時間と手間がかかる。だからこそ、楽しむことが本当に大切だと思います」


生きることと働くことが、一続きになっているような暮らし。

それが農家という職業であり、生き方と言えるのかもしれません。


「俺は本当に農家が好きだし、一生の仕事だと思ってる。百姓という言葉に誇りをもってる」


高橋宏之さんの言葉が、今でも耳にこだましています。


よし!農家として生きよう!とまではなれていませんが(笑)、

自分の手で暮らしをつくってみる。そんな生き方を始めてみたい。

改めて、そう思わされました。


みなかみ町は、天気予報でよく聞く、雪の降る地域という印象しかなかったのですが(すみません!)、

自然よし、暮らしよし、人よしの三方よしな地域ではないか!という思いが強まっています。

ぜひ機会をみて、訪問させていただきたいです。





宮﨑紗矢香さん


1997年生まれ。立教大学社会学部卒。国立環境研究所 社会対話・協働推進室コミュニケーター。大学時代、環境活動家グレタ・トゥーンべリさんに影響を受け、気候ムーブメント、Fridays For Future Tokyoのオーガナイザーとして活動。「気候文学対話~心を守るための読書会~」主催。共著に『グレタさんの訴えと水害列島日本』(学習の友社、2020年)。
















いかがでしたでしょうか?みなかみ町では持続的な町を作っていくために、地域と寄り添って活動したい人のはじめ一歩を後押しする、サポートを行なっています。自分の生き方を実現するのは自分自身です。そして一人一人のチャレンジが地域をより豊かにします。今後もさまざまな地域チャレンジプログラムやイベントを開催していきますので、ぜひお気軽にご相談・ご参加下さい。みなかみ町ではじめの一歩を踏み出しましょう!




今回お話しいただいた農家さんの農園はこちら!

まるひろ農園 https://www.maruhiro-nouen.com/

たにがわ園  https://www.tanigawaen.com/



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